北海道現代史 資料編1(政治・行政)
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北海道にまかせても、とうてい満足に行うことができない。北海道の特色ある点を生かして、その開発に専念させるべきである。またその事業を国費でやることを考えるならば、これがためには特別の行政機関を設けるのが最適である。総合開発機関の行政はこの一点に集中すべく、かつこれに密接な関係ある事項はあわせて処理させることが適当である。その他の行政は一般府県並に各省に移して、よいと思われる。この開発行政機関は一般内政省たる内務省に置かるべきではない。各省に関連するのであるから、内閣に設置するのが適当である。また現地の機構として北海道庁の機能を利用するのが必要であろうから、法制的にも身分的にもその職員を機構内に取入れることが必要であろうと思われる。北海道の林政を内地に統一する件は、御料林が改正憲法の規定によつて国庫に帰属することになる。御料林の分布は、内地一に対して北海道二の割合になつており、従来の取扱いからすれば、御料林の経営は北海道庁で行われるのであるが、北海道庁は公共団体の機関となつて、国有林の経営を行うことには行政上の疑点があり、適当でない。北海道林業の重要性からいつても、国有林の経営は一に国営事業であるということから考えて、御料林をもあわせて農林省に統一してやらせるのが一番筋である。特に森林濫伐の傾向から考えても、その粗放的な経営を改めて、真に財政に資し得るような歳入を上げさせるためには、内地及び北海道の御料林はあわせて特別会計を設置して、収支バランスをとつた経営を行わせる必要がある。現在の帝室林野局及び北海道の営林署は機構を統一するとしても、しばらくは現状のままとして、事務統合の進むに従つて処理するほかはあるまいと思う。以上の所管は事務当局間の折衝ではとうてい円満なる    妥結を見ることができないものであり、閣議をもつて決定するほかはない。しかも大蔵省としては期限を限られている予算の編成上どうしても処理せねばならない問題である。いわんや今後一部変更を見るとしても、一応大第5章 戦後北海道開発政策の諸相600

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