一〇人に九人は周遊観光を望む北海道では多くのリゾート開発が進められ、滞在型観光への地元の期待は大きい。滞在型観光は周遊型観光と対峙して語られる形であるが、観光客の側は北海道の観光旅行はどんな形でしたいと思っているのだろうか。で行くなら色々見て歩きたい」、「(19)一ヵ所に滞まるよりは周遊する方がおもしろそう」の各質問への回答を見ると、いずれも北海道に対して肯定の回答が最も多い。次に多いのは沖縄であるが、その分布傾向は北海道に対する回答の分布傾向とは有意に異なる。北海道に対する肯株式会社たくぎん総合研究所『北海道観光中長期ビジョン』一九八八年「(5)たっぷりした日程をとりたい」、「(15)せっかくそこま定の回答はいずれも九〇パーセントを越えている。否定の回答はいずれも二パーセント前後であり、これは例外中の例外といえる数であり、信州や沖縄では見られない傾向である。つまり、北海道を観光旅行で訪れるならば、滞在旅行ではなく、たっぷりした日程で色々見て歩く周遊が楽しみであると誰しもが思うのである。周遊旅行よりも滞在旅行を期待する人は「(19)一ヵ所に滞在するよりは周遊する方がおもしろそう」に反対であると答えた二パーセントの人だけである。北海道的大きさを体験することが北海道観光における大きな魅力である。こうした積極的な意味で、広く廻って色々なところを見たいという観光客の気持ちと、一方で一か所に滞まってじっくりと見るものもないので観光客は多くのポイントを駆け巡ることになってしまうという側面もありそうだ。自然という言葉でくくってしまえば、北海道の売り物はひとつしかないと言ってもいい。そうしたことを考えれば、周遊観光とは言っても実際には多くのポイントを通過するラリー観光とでも言った方が合っている。こうしたわけ第五節 観光客のニーズと対応観光形態への対応第5節 観光客のニーズと対応 98745
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