北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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きりさせることができた。即ち政治的、社会的自覚を身をもつて体験した。これは目の前に迫るせん挙で大なる威力を表はすことにならう。闘争の進展に従つてそれに反対する政党、社会の諸勢力は意外に多かつたことも事実である。これはわれが味方にカク得しなければならないものであるが闘争が予想外に急速に大きく発展し、質的変化を来したためストの行動力と宣伝力とが平行しなかつたところにソゴを生じたのである。事態が急速に発展する場合、凡ゆる決戦がさうである如く矛をどこで収めるかが最も重要となる。二・一の場合、ストをスト突入直前でやめるか、ストに突入して二、三日で止めて業管に入るか、ストを相当永くつゞけるかはその時の状勢によつて決定される。今回はストが孤立したといふ致命的原因でスト直前に中止するのやむなきに至つた。この場合でも中止せず延期や其他の方法もあるが、組合内部の状勢でできなかつた。これは組合歴史の若さによる弱点である。今回の、この大ストに対して内外の凡ゆる言論は、もつともらしい批判、誹謗が枚挙に遑ない程であるが、戦術はかくあるべしといふ固定的言葉で言ひ表されるものは戦術としてとりえないものである。このことは進歩的な労働者は実践的に理解した。以上によると二・一闘争は組合活動そのものの成長から見て大なる効果をえ、その力は政治上の一大威力となつたことに勝利があつたことになるが、組合員の生活権確保はどうなるのか。組合の根本的要求が満されない以上成功とは云へない〲  〱  力をしみとも云ひうる。しかし、政府も議会も今回で労働者の威ない政府では解決できなかつたのであるが、早晩大部分認めざるをえないであらう。さうでなかつたなら彼らは、再び攻撃にさらされ、政治的にも窮地に追ひつめられることを深く感じたであらうから。(昭和二二、二、一〇)感じたのであるから、二月一日現在で能力(北海道立図書館複製所蔵)1009第1節 戦後復興期の労働運動

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