北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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る。規約は労働組合運営の憲法とも言うべきものである。この規約によつて労働組合は団結し、秩序を保つことになるのであるが、その内容が労働関係法規に合致していなければ民主的労働組合とは言えないのである。協約は労使関係を安定させる基盤であり、この協約を通じて労使が相提携して協力をし、生産の増強をはかり得るのである。このことによつて経済の復興と労働者の生活の保障が成しとげられるのである。アメリカに於いては古参権、苦情処理機関の制度が非常に発達しているので、この制度を充分に研究して、日本の実情に即応するように取入れてもらいたいと考えている。次は教育活動のことであるが、組合が旺盛なる志気が維持され、団結が強化されるということは、絶えざる教育活動が行われていなければならない。今日の状態を見ると組合が闘争に追われ、財政も貧困のため、充分なる活動が行われていないように見受けられる。以上の三つの要素は組合運営の基本をなすものであつて、今や日本の組合が世界の組合と協力するために大海に乗り出した船のようなものである。両手に握られたかいは規約、協約であり、この船の方向を決定するものは教育活動である。今後は一層組合の教育活動が活潑に行われるようあらゆる援助をおしまぬ次第である。(芦田記)(北海道労働資料センター所蔵)1025第1節 戦後復興期の労働運動     

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