北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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北海道経済の現状認識と国民的課題序 日本経済今日の最大の課題は、経済自立の問題であることは論をまたないところである。経済自立こそ、わが国の政治的独立の基礎であり、こゝに、まさしく全国民の運命がかけられているといわなければならない。貿易の振興、国土の開発、そして資本蓄積などの問題は、実にこの課題を辿る全国民の問題に他ならない。いま、四つの島に残された、唯一の希望として、北海道の総合開発が、大きく浮びあがつてきている。資源の開発を通じて、国民経済に貢献すべき北海道のもつ重要性は、たとえようなく大きい。と同時に、道民の生活水準が本道開発によつて実質的に向上していくことは、道復興と発展への助走北海道総合開発委員会事務局『北海道経済実相報告書』一九五一年民ひとりひとりの心の底からの欲求であり願望であろう。だから道では、このような北海道の基本問題をとらえ、これにたいし「北海道総合開発第一次計画書」を公けにして、近い将来にたいする本道開発の基本的方向を明かに示したのである。われわれは万難を排して、現に行われつつあるところの各種の産業ならびに行政施策を総合的に調整推進し、開発計画のなかに盛られた重点事項を推進実行すべきことを強調している。しかし北海道将来の運命をはかるためには、八十年の歴史の投影としての現在をこそ、まず知らなければならないであろう。北海道の現実を経済的に描き出してこそ始めて、この新長期計画も客観的な見透しを与えられ、現実に結実していくであろう。このことは、経済の論理であり、したがつて政治の論理といつて過言ではないのである。すなわち、経済の現実を明かにし、日本経済における北海道の位置ずけを与えることによつて、始めて総合開発の基本的方向も明示せられ、道民も自ら何を為すべき9123      論 (2) 第2節 経済構造と雇用・人口

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