北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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か具体的課題も知り、開発に積極的に参加協力し、自然と民衆と一体的な総合開発の道は一歩前進することが期待されるのである。だからわれわれは、げんざい集められた資料や統計を基礎にして、北海道経済の現状をできるだけ明かにし道民の燃えあがる心情に応えつつ道民とともに当面の開発の問題を考え、かつ解決してゆきたいと思う。われわれは本報告書において、北海道経済の実相を報告し、まず第一に北海道の経済の総合的な構造と国民経済における地位を述べ、次にこういう構造のもとでそれをくみたてている各産業部門の動向が現実にどういう形態をとつて流れているか、さらに進んで道民生活の実態にふれ、自らの姿をありのまま理解しようと欲したのである。本報告書は、このような意図のもとに、道民のためのものとして報告されるのである。〈中略〉本稿を閉じるに当つて、第一部本道経済の構造、第二部本道経済の動向について、総括的にあるいは部門別に考察して来たところを、いまあらためて思い浮べてみよう。まず、産業構造全般の姿を概観すると、他府県に較べてさまで立遅れてはいないように見える。しかし、その内容に立ち入つて検討すると、たとえば、工業における加工段階の低さ等著しい遅れが目だち、さらに、未開発資源の豊富さにたいして、開発の度合はまだまだ充分ではない。しかし、その豊かな資源を基盤として、若々しくいきいきとした発展の可能性が充分考えられ、産業高度化の方向が見出されるであろう。次に、最近の動向をみると、農業における地力の減粍()、経営規模ならびに組織の零細化、低位化が目立ち、林業は、過伐の傾向を強め、水産業における魚田喪失―濫獲―    耗 語投げている。工業においては、電力問題解決への努力と結 荒廃の諸条件の累積は、漁業経済に大きな問題を92第1章 地域経済と経済政策

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