北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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4 国鉄の「生産性向上運動」をめぐる動き国鉄の生産性向上運動(いわゆるマル生運動)をめぐつて不当労働行為事件が続発しているが、札幌地裁は九月一四日、国労札幌地本(苗穂工場関係)の「不当労働行為禁止仮処分申請」に対して、当局による組合員の脱退指示、説得を禁止する仮処分を決定した。同様趣旨の提示は、全国各地の国労、動労支部から公労委に出されているが、生産性向上運動にからむ説得工作そのものについて裁判所が裁断を下したのは、こんど国鉄と労働運動北海道労働部労政課『道内労働情勢 六年』一九七一年九月昭和四十の札幌地裁の決定が初めてであり、今後、マル生運動にかなりの影響を与えるものと思われる。国鉄における生産性向上運動は、「赤字財政立て直しのための精神運動」として取り上げられ、国鉄当局はこの運動の推進のため、四五年春職員局に能力開発課を新設し、生産性本部と三年間の受託講座契約を結び、「生産性研修会」を開くなど、いわゆる〝マル生運動〟を全国的に展開した。しかし、国鉄当局が「組合員以前の国鉄職員としての自覚と心構えをつくる手段」(磯崎総裁)だというこの運動が進むにつれ、全国各地で「不当労働行為」が続出した。前記札幌地本の仮処分申請のなかでも「当局側の生産     不当労働行為と一体である」といい、脱退工作の具体的性向上運動は、財政再建合理化のための職員の意識、労組の体質まで変えようという、組合切り崩しがねらいで、事実を指摘しているが、組合側は、「生産性向上の本来の目的である雇用の増大、労使協議、公正配分とは異質第三節 安定成長期以降の労働運動マル生反対と組合員説得行為についての裁断第3節 安定成長期以降の労働運動1051(1) 16 

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