である」と批判し、マル生運動に名を借りた組合破壊と受けとめ、対決姿勢を強めている。このようにマル生運動が進むにつれ、国労、動労から脱退者が相次ぎ、また、その過程で常識では理解できないような出来事が発生し、自殺者まで出る騒ぎに、各新聞の論調も次第にきびしくなり、国鉄再建のために職員に努力を呼びかけること自体はまちがいではない、としながらも、「多くの情報から公正に判断すると、公労委が取扱つた問題は、国鉄労使関係の〝氷山の一角〟を示したもので、偶発的な特殊例として見のがすわけにはいかない」(毎日)、「国労の体質を変える運動に転化されているような印象が強いのは不可解」(朝日)、「国鉄当局によるこのような不法行為は最近では中小企業でもあまり例をみない事例である」「本来、人間尊重の労使関係を実現しようとする生産性向上運動が、国鉄に適用された場合、組合の「体質改善」ないしは「切り崩し」対策にねじまげられているように国民の目に映つていることは遺憾というほかない」(道新)と筆をそろえて論難し、「現状では、たとえていえば、即効をねらつて病人に劇薬を投与したのと同じ」(朝日)とまで極言し、「国民の常識から逸脱した前近代的な国鉄当局」(道新)に対し猛省を促している。マル生運動粉砕を当面の重要課題としている国労、動労は、その後九月一七日、共闘会議を設置し、当局側の不当労働行為の摘発を手始めに、年末の決戦ストを目指し、完全共闘を進めることを確認した。しかし、マル生運動を財政再建の重要な柱として位置づけている国鉄当局は、管理体制の強化、国鉄職員の意識改革を全職場で続行する一方、九月一八日には五・二〇スト不参加者に対し、〝報いるのは当然〟と一、〇〇〇円の支払いを行ない、さらに一一月下旬には、東京で「全国生産性向上大会」を開催する計画をたてている。あえて事を構えるかのような当局側のこの挑戦的な姿勢に、労組側は、スト奨励金だと強く反発し、総評も九月二四日、国労、動労など関係組合の法律担当者会議を開き、「弾圧対策委員会」を発足させ、不当労働行為の第10章 労働運動1052
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