北海道現代史 資料編2(産業・経済)
1071/1104

まだやめないか〝内輪もめ〟函館桟橋にウズ巻く観光客らの抗議ついに〝乗客団交〟「札幌までバスを出せ」 【函館】動労スト二日目の二十日未明、本州各地から約二千人の乗客が本道入りした。その大半が連絡船に乗ってからはじめて〝スト〟を知らされたため、函館桟橋や函館駅構内は乗客の怒りの声でいっぱい。このため青函局はバス送りに切り替えようとしたが、チャーターするにもバスがなく、残された乗客約八百人は駅待合室でゴロ寝。しかも連絡船が到着するたびにその数は増え、「どうしてくれるんだ」という乗客の不満、抗議が時間と共にうず巻いていた。トラブルは十九日最終便から始まった。接続列車の函館発札幌行き急行列車すずらんが指名ストで運休となったため、羊蹄丸で函館に着いた約二百人の一般乗客は途方にくれ、右往左往。「なぜ北海道だけがストなのか」「闘争ごっこはいい加減にしろ」と激しく駅員に抗議した。しかし、同じ連絡船で来た福島県の石川専門学校など二団体約百二十人が手回しよく事前にチャーターしたバスで道央へ向かってしまうと、ようやくあきらめて〝ねぐら探し〟。が、市内の旅館やホテルはどこも超満員。空きがあっても足元をみられ、法外な料金をふっかけられて、あきらめて再び桟橋へ―。約五十人が待合室でゴロ寝を強いられた。また、二十日は午前四時と四時二十五分、松前丸と大   ト。ついには「ぶっ殺すゾ」の言葉さえ出る始末。姫路雪丸の乗客千七百人が到着したため桟橋はさらに混雑。案内所をとり巻いた乗客たちは「本州各駅でPRしたというが、このキップを見ろ、昨日の日付だ。何も聞いていないゾ」「もう北海道には二度とこない」「三カ月でも半年でもストを続ければいいンだ」と抗議はエスカレーから来た二十二歳の娘さんは「昨年北海道に観光旅行に来てすばらしかったので今年は母を連れて来た。これからどうしたらいいの…」と青ざめた表情。身内の不幸で横浜から室蘭へ行く会社員も「赤字、赤字と国鉄はさわぐけれど、こんなことをしていたら赤字第3節 安定成長期以降の労働運動1057

元のページ  ../index.html#1071

このブックを見る