北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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るなど地域開発に関し手厚い政策がとられたので、冒頭に「地域開発」を置いています。第二章から第四章には本道産業の特徴である農業・林業・水産業で構成される第一次産業を位置付けています。研究史的にも多くの蓄積のある産業です。第五章以降は、工業・情報通信(第五章)、商業(第六章)、建設業・交通(第七章)、鉱業・エネルギー(第八章)、金融・観光・サービス業(第九章)と各産業を網羅しています。これまで研究としては手薄な部門も多いので、例えば商業では商工会議所の所蔵資料を大量に収集して通史に備えています。第一〇章には労働運動を置きました。これは当初「労働」としていましたが、第一章第二節を「経済構造と雇用・人口」として雇用問題を扱うことにし、第一〇章は「労働運動」としました。『資料編3(社会・教育・文化)』における社会運動と関連しますが、労使関係の視点から相対的に独自なものとなっています。本巻の部会員(だいたいの肩書は調査研究委員)は一五名であり、北海道大学や北海学園大学の経済史を専攻する教員が多くを占めています(執筆分担及び関係者一覧を参照)。部会員の世代構成は七〇歳代から六〇歳代、四〇歳代と分かれており、二〇歳代も一人おり、幅広くなっております。特に七〇歳代ともなれば研究生活は昭和四五年頃(一九七〇年代)から始まっており、対象時期の半分が同時代史となります。当然、研究者としての客観性は維持されていますが、自分史との関わりで思い入れを排除することは難しいわけです。この現代史の難しいところを完全に排除するのではなく、世代間の議論を行う刺激剤にしようというのが当初の目論見でした。特に、四〇歳代の中堅層とは問題意識も異なるので、活発な議論の下で全体の枠組みを強固なものに練り上げようと考えましたが、この点は新型コロナウイルスの蔓延によって十分な議論の場を確保することが難しくなりました。引き続き、通史の執筆に取り組む中で、北海道の新しい「戦後史」を作り上げたいと思っています。資料の収集と言っても、どの時代に重点を置くかというのも重要な点でした。『新北海道史』では昭和四五(一九1074おわりに  

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