道民所得統計の作成まえがきこの三月、われわれは昭和二三年度における北海道の国民所得=道民所得を生産面から把えて推計したところの「北海道生産道民所得調査結果報告(道民所得調査資料第一号)」を公刊したのであつた。国民所得推計の作業は、こんにち理論的にも方法的に 構造の特殊性すなわち、日本経済力における本道経済力もきわめて困難な問題をふくんでいることはいうまでもないところである。それにもかかわらず、ここに北海道経済の総合的な計数把握がなされたことは、北海道経済の比重、本道の産業構造ならびに経済発展段階の特性、さらには道民担税力等の問題を解析する基礎資料を提供し、北海道行政の運営上にすくなからず貢献するであろうと期待されたのである。北海道総合開発委員会事務局『北海道道民所得調査結果報告 昭和23年度』一九五〇年しかし、同報告は生産所得についての調査であつて、道民所得調査はさらに「分配道民所得」「道民支出」の二系列の調査推計と相まつてこそ、その意図する北海道経済循環の把握が可能とされ、その積極的意義も見出されるのである。こういう観点から、われわれはひきつづき二三年度分配道民所得ならびに道民支出推計の作業を進めつつあつたが、分配道民所得の推計結果の作業のみここに完成するにいたつたのである。この間、道民所得調査推計の事務担当者も、二四年八月から最初は行政調査室を主体として統計課を始め庁内各課との緊密な連繋のもとになされたのであるが、二五年九月新たに発足した北海道総合開発委員会事務局にその事務は引きつがれている。道民所得調査結果が期待されたように北海道総合開発計画策定のための基礎資料として各界より強く要望されつつあることは深く喜びにたえないのであるが、ここにさきに公刊した生産道民所得の調査結果の摘要とこれに今回の分配道民所得調査結果とを附け加え、両者を一括9625 第1章 地域経済と経済政策
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