早くに策定すべきであろうし、石狩町や手稲町だけの問題ではなく、一刻も早く札幌市を中心とする総合的な構想を必要とする段階にあるといってよい。このまゝ放置して地価の昻騰を招けば、工業地帯としての価値をそれだけ減じていくとみてよいし、工業の立地は次第に苫蘭地域に流れていくことを早め、この方向に別の集積を起すにちがいない。政策的に用地の先行確保がひとつのポイントをなすといわなければならない。この地帯における工業の集積は、都市周辺型ないし市場指向型であり、業種の構成からいうと関連型が多い。今日の集積傾向がそのまゝ進んでいけば、そうなるということであるが、しかし、これからの業種は高次のものが多いのであるから、製品や技術の面で現在の水準のものであっては、この傾向を強めていく度合が弱くなる。したがって、大企業の分工場のような形で誘致して、これを軸として関連型業種を育成していかなければならない。木工団地のような場合、中小企業の集中化としての利益は、例え業態が同じでも、それなりに大きいといってよいが、機械工業団地は、関連的な構成として、中核企業の存在を必要とするのである。したがって、政策的に必要なことは、道内需要が相当な大きさに達したものについて、大企業の分工場ないし系列工場の誘致を求めることが先決となる。国道ぞいのベルトのような集積は、道路そのものの効率からいっても不利益な点が少くない。したがって、一定の工業団地を設定して、これと結ぶ幹線道路を集中的に整備して、集積の地域を限定する政策をとるべきである。極端なことをいえば、公共投資は、その地域とこれを結ぶ幹線道路に限って行い、平面的に拡大していくような公共投資は避けるべきである。つまり、大きな点を二~三本の線で結ぶことだけをや 役目を果すものではない。それだけの投資をこの地帯にればよいのであって、後は民間造成に委ねてよいのである。しかし、札樽バイパスの山側設定は、この地帯の工業化に何ら関連をもたず、工業地帯と他を結ぶ「線」の108第1章 地域経済と経済政策
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