北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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北海道における季節労働の課題北海道の労働運動が取上げている季節労働(者)とは、以上の類型とは違うのです。常識的な意味の「季節労働」なら他府県にも沢山ある。違いは、〝すけそう〟と〝かつお〟、〝りんご〟と〝みかん〟の程度です。北海道の積雪寒冷からする多少の量の相違はあっても、言っても就業構造基本調査の〝季節的就業者〟の比率は他府県からみて、ずば抜けて高いのだが道だけの問題ではないでしょう。問題は別のところにある。本来なら年間通じて行なわれる一般的な生産・労働、これが他府県ではちゃんとやられているのに、北海道では積雪・寒冷のためにながい期間中断されてしまう。そして大量の失業が発生する。例えば建設業とその関連産業のようにです。ここに、季節労働に関してもうひとつ全北海道労働組合協議会・北海道季節労働者組合協議会『北海道季節労働者白書』一九八一年の北海道の特殊な問題、私たちが深い意味をこめて「季節労働者」という意味があります。これがどんなに深刻な程度のものか、表二・図二〈略〉を見てほしい。この一年間に、季節労働者で雇用が中断した人数(雇用保険の特例一時金を受給した人数)を月毎にみると、年間計で二八七、八四四人にもなっているが、その約六割=五七・四%=一六・五万人が一月に受けている。これを一二月・一月・二月の三ケ月にひろげてみると実に八五・六%=二四六、三九四人です。つまりこれは夏期というより雪が融ける四月頃から一一月いっぱいか暮れ一二月ま――と なにも北海事を打ち切られてしまう人達がいるという現実です。北で働いていた人がこれだけいる、こんなに降雪寒冷で仕海道の雇用者(官公のそれも含めて)はざっと一九〇万人だから、六人に一人(男子なら五人に一人)はこのひどい運命を押しつけられ、冬期四、五ケ月はどうしても失業しなければならない、という問題です。この点、季節労働者といっても、先の常識的な類型(雇用が四ケ月以内で雇用保険にも入れない)とは異なったものです。〔1.はじめに︱季節労働者とは︱〕36 (2) 118第1章 地域経済と経済政策

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