北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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昭和五九年三月三一日「村おこし 町おこし」を支えるもの~私の提唱するいわゆる「一村一品運動」とは~我が国の経済は、戦後の混乱期を脱して以来極めて高い成長を続け、国際的にも経済大国として位置づけられるまでになりました。しかし、四八年、五三年の二度のオイルショックを契機として、素材型工業の構造不況、世界的な景気後退、国内需要の伸び悩みなどから、長期的な低迷を余儀なくされています。こうした経済成長の低下から国や地方自治体の税収の伸びが大きく鈍化するとともに、財政の硬直化も加わり政策も厳しい選択を迫ら()ています。したがって、我が国の経済運営において、これまでのように財政に大きな期待をかけることは、ますます難しくなると考えます。〈中略〉れ脱北海道審議室長 北海道知事 とりわけ北海道は、我が国の中で第二次産業の発展が植村 敏  遅れ、産業構造がぜい弱なため産業的な後進性を北海道開発予算で代表されるような公共事業やその他の財政支出で補ってきました。最近、北海道はもはや後進地ではないという論議が高横路 孝弘  まっていますが、地域別にみた財政支出の対県民所得比では全国一高い三七・五%(全国平均二三・五%)であり、産業面でも加工組立型産業が少なく、消費財のほとんどを移入にたより、原材料や低次加工品を供給する産業構造となっています。確かに、一人当たり、県民所得等で比べると中の上くらいになります。がこれも財政によって支えられているといっても過言ではない状況です。財政への期待が一層厳しくなり、景気の急速な好転が      望めないという厳しい状況の中で、この北海道を、そして一つひとつの町や村を活気あふれるいきいきしたものにしていくこと、これが、知事である私の願いであり、また、道民のみなさんと共同でつくりあげていく、道民の目標であります。132第1章 地域経済と経済政策

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