ます。反面、道内の生産物の多くは付加価値の低い原材料の形で道外に移出しています。このような状況のもとで、北海道の域際収支(移輸出総額と移輸入総額との差)は、道民総支出の二五%にもあたる二兆六、〇〇〇億円の赤字になっているのです。この赤字を少しでも小さくするためには、加工組立型産業やファッション産業などを道内にもってくることももちろん重要ですが、道内で生産される農林水産物はもとより、鉱工業製品についても、いかに付加価値の高いものにするか、未利用の資源をどう生かすか、みんなで知恵を絞ってみる必要があります。地場産業を掘り起こし、町づくりと結びつけることによって、地域にある資源を生かし、加工度を高め、これを地域の活力としていく、そんな「一村一品運動」のような運動が、北海道の経済を強くしていくために役立つものと考えております。また、過疎ということばはとかく暗いイメージをもちがちですが、見方を変えればそれは制約が少なく、自由な構想を描けるフロンティアなのです。原材料生産にとどまっている道産品もまた今後工夫する余地が大きいわけです。「デメリットをメリット」に変え、「不可能を可能にする」発想の転換が、これからの「村おこし こし」に必要でないかと考えています。○特産品の開発は地域の創意と熱意からいわゆる「一村一品運動」で最も関心と期待があるのは、特産品の開発でないかと思っています。道の経済白書でも重点的に取りあげていますが、市町村が取り組みたいとする課題として、農林水産物などを加工する製造業の育成誘致、一次産業における地域特産品の開発、観光・レクリェーションの振興など地場の資源を生かして地域に活力を与えたいというのが、企業誘致などに代って増えています。特に、地域の資源を加工して、少しでも付加価値を高めたい、そんな試みが道内でも多くなっており、とりわけ、過疎市町村での取り組みが真剣であるといえます。 市町村が自ら試作研究、普及等のために研究や加工施町お134第1章 地域経済と経済政策
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