北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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平成三〇(二〇一八)年の「北海道命名一五〇年」を期に開始された新たな北海道史の編さん事業は、今年度で五年目を迎え、このたび、その一巻目となる『北海道現代史資料編2(産業・経済)』を刊行する運びとなりました。北海道(庁)による道史編さん事業は今回が初めてではありません。これまでにも戦前の大正期から現在に至るまでの間に三回にわたって行われてきました。最初の編さんは、大正七(一九一八)年の「開道五〇年」記念事業として同四年に始まり、同七年に刊行された『北海道史』です。本書は、明治維新前までを叙述の対象とする通説一巻と附属地図を公刊したのみで、事情により中断しました。その後、大正一四(一九二五)年になって編さんが再開され、昭和一一(一九三六)年から翌一二年にかけて、書名を『新撰北海道史』と改称して刊行されますが、これが二回目となります。『北海道史』の後継史として位置付けられた本書は、道史に対する視点は基本的に継承し、先史から明治維新を経て大正時代末期までを叙述の対象として、全七巻で構成されていました。本書の登場によって、北海道の原始・古代から近代までを体系的に捉えた北海道の通史が完成することになりました。その意味で、この新撰道史がその後の北海道史の研究に与えた影響は極めて大きいと思います。そして、戦後の昭和四三(一九六八)年、いわゆる「北海道百年」を記念する事業として、同三八年から開始された『新北海道史』の編さんが三回目です。この新道史は、先史時代から始まり、近世と近代を経て、戦後の総合開発で北海道が変貌を遂げようとしている昭和四五(一九七〇)年を叙述の下限に設定し、昭和四四(一九六九)年から発刊に当たって  1     発刊に当たって

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