これらは、個々の企業としては、まだ規模も小さく、経営基盤も十分に固まっていない。しかし、業界全体として発展していくことは確かであり、北海道経済発展のためにも、こうした将来性のある若い芽を大きく育てていく必要がある。北海道のもつ諸条件は先端産業が根づくのに適している。道内企業に加えて道外、さらには海外からの誘致によりその集積が形成されることになれば、北海道が一九九〇年代、二一世紀にかけてこの分野における世界の核となることも決して夢ではない。そのためには、明白な意図のもとに各界の一致した努力の積み上げが必要である。その端緒として北海道の豊かな自然の中に大学、研究所、企業等が立地した先端技術産業の集積地「北海道ハイテクパーク」の建設を提言する。一九八四年六月株式会社北海道拓殖銀行調査部長 1 る 伴うことが前提である。そのため、大学・研究機関とベンチャービジネスとが渾然一体となって、発展していくことが望まれる。理想的には、大学のキャンパス内、もしくは隣接地にベンチャービジネス、研究所もしくは工場が立地し、産学による技術交流、人材交流が進められるのが望ましい。のパイプ役とすることも有益であろう。くことのできない条件の一つである。2 環境が重要な要素となり、自然環境と都市集積の調和による「クオリティ・オブ・ライフ」の確保が求めら鵜飼 鶴吉 れる。大学・研究機関とベンチャービジネスの一体化を図先端技術産業は、高度な学際集積、研究開発体制をそのために、第三者による機関を設置し、産学交流また、道外・海外からの民間研究機関等の誘致も欠自然と生活の一体化を図る先端技術産業は、頭脳労働である。このため、居住140第1章 地域経済と経済政策
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