北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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〈略〉)い変動が起つて耕地を手離すことになりはしないかと極度におそれる。かくして彼等の耕地を所有するようになつたことによつて培われた所有者意識は、あらゆる変動を恐れるようになる。彼等は現状維持派、保守的となる(これが農地改革の真の狙いであつたのだが)。他方、所有者意識は、もう何をやつても地主によつて取上られることのない彼の耕地を掌中の玉のようにいつくしむ。つまり、資力の続くかぎり排水施設を行い、客土をやり、堆肥を入れて、土を肥やす。かくて、土地の生産性は僅かながらも上昇するのである。(本道においては特に特殊土壌地帯―泥炭地、火山灰地等―が広く分布しているので、排水、客土等土地改良の効果顕著で、東北と共に戦後の土地生産性の上昇が著しい)(第四表だが、このような生産性の増大傾向も、現在の生産関係に衝突して既に頭打ちというより破壊される地方(近畿、西部、南部の水稲)もでて来ており、東北、北海道も前述のような条件下では楽観は許されないであろう。A 〔(Aは司会。B以下は参加者〕農地改革十周年記念を迎えるに当つて今日まで十年の間に想い出はいろいろあつたと思います。    ます。そういう裏話にこそ日本における農地改革の問として、表面にでないいろいろな問題があろうと思い題が横たわつているような気が致します。今日は農地改革の中心となつて挺身された方との思い出話をいろいろと話して頂きたいと思います。編者注)農地改革当時の想い出〈一九四七~五五年〉十年をふりかえつて 農地改革と農地部の生れるまで―倉庫の屋根裏から生れた改革―道庁や農業団体機関、組織、更に市町村現地、個人北海道農業会議『北方農業』五巻九・一〇号農地改革当時の想い出(北海道立図書館所蔵)一九五五年一月4 176第2章 農業

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