〈中略〉両者の言ひ分に対しての見界(此のアイヌ土地問題で地主側小川、広野両代表は「アイヌ同族の為」と冒頭して、食糧や衣類難の現今アイヌに土地を与へて貰はねばウタリは滅亡して行く、インフレの切抜けも先づアイヌの自給自足が必要で、悪党小作人たるシヤモ共をせいばつする為を進駐軍に歎願した。小作人は組合をつくり、四十八名で吾々に対抗して来るが吾々も三十名で大いに斗ふ決意だ。―と語り、一方小作人組合長田守佐𠮷氏は、アイヌは吾々に対し円満的に何の話しもせず、いきなり進駐軍に頼つてゐる。吾々もどこまでも抗争し、耕作権の確保をはかる方針だ―と主張してゐる。此の問題に対しアイヌ問題研究所では公平な態度を示し、美幌進駐軍に「円満解決に就ての意見書」を提出するが、進駐軍はどう裁くか、大きな注目を浴びてゐる。ブローカーの撲滅こそ急務アイヌ問題研究所では今回の土地事件の原因は土地ブママ)ローカーにありとし之が一掃に乗出し、和人対土人の融和に拍車を加へる。(二十六日付道新十勝版参照)最近アイヌ土地問題等を中心に旧土人対和人の斗争が 道 る〝民族問題〟であり、然も従来道庁や裁判所等でも責表面化し、之が解決方も日本人側官憲に頼むに足らずとし、アイヌ側の一部では直接進駐軍へ訴へるものもあり、斯くては民主化への目的に反するものとし、進駐軍も日本官憲による円満な解決を望むものである態度を示してゐる。然し乍ら之等アイヌ問題は通称一般社会問題と異和人対土人の〝融和〟こそ急務斗争は大禁物!! アイヌ問題の解決(釧路市中央図書館所蔵 アイヌ問題研究所『アイヌ新聞』七号山本多助資料)一九四六年七月一日② 「給与地小作」の問題に対する『アイヌ新聞』の報186第2章 農業
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