北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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北海道アイヌノ所有スル土地ニ関シ其ノ所有面積北海道ニ於ケル一般人ノ最高所有限度(十二町歩)以内ノ土地ニ対シテハ農地調整法及自作農創設特別措置法ヲ適用セサル様関係法令ヲ改正セラレタキコト。(理 由)北海道アイヌハ往昔蝦夷ト称シ蝦夷地(北海道)全土     ヲ給与シ而シテ給与シタル土地ニ対シテハ相続ニ依ルノヲ天地トシテ自由ニ山ニ猟シ河海ニ漁リ天資ニ依存シテ原始的生活ヲ送リ来レリ。然ルニ明治維新ノ施政為サルヤ政府ハ蝦夷地全土ヲ挙ケテ国有ト為シ内地人ヲ入レテ大ニ拓地開殖ノ計画ヲ樹テラレタル結果内地人ノ移入日々ニ激増シ之カ為忽チ天然資源ハ涸渇シ極度ノ生活難ニ遭遇セリ茲ニ政府ハ同族ヲシテ農耕ノ業ニ従事セシメ其ノ生活ヲ安定セシメントシテ明治三十二年北海道旧土人保護法ヲ制定シテ適農地五町歩以内ヲ給与シ農具種子外所有権ノ譲渡ヲ禁止スル外凡ユル物権ノ設定ヲ禁シ以テ不正和人ノ纂奪ヲ防キ徹底的ニ勧農政策ノ必成ヲ期セリ。之ニ依リテ吾等同族ノ微弱乍ラモ其ノ措置ニ安ンシテ今日迄生計ヲ維持シ来レリ。然レトモ開闢以来三千年ノ久シキニ亘リ文字ヲ持タザリシ漁猟放牧ノ民族ニシテ一般ノ水準ニ同化向上セシムル業ハ一朝ニシテ成就スル能ワス今日ノ現状ヲ以テスルモ土地管理能力ニ乏シキノミナラズ生活能力モ亦低劣ナルヲ以テ自然農耕地ノ耕作権ハ和人ノ手ニ奪ハレ最低ノ生活ヲ維持スルニ吸々タル状況ニアリ即チ保護法第一条ニ依リ下附セラレタル土地面積八千五百三十八町一反五畝〇七歩ノ中農耕適地五千百六十七町三反九畝中貸付地一千九百六十八町五反ニシテ約四割ヲ占メテオリ其ノ契約内容タルヤ亦低廉ナル賃貸料不利ナ条件ニ低()リ長期ニ亘リ賃貸シ中ニハ百年以上ノ賃貸契約ヲ為セルモノ尠ナカラズ。終戦後食料事情ノ逼迫ト共ニ同族食生活辛酷ヲ極ムルニ従ヒ同族ハ給与地耕作権ノ回復ヲ希求スルコト熾烈ナラントスルトキニ際シテ今回農地調整法及自作農創設特別措置法ノ施行ヲ見本法ガ給与地ノ上ニ全面的ニ適用ヲママ188第2章 農業

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