北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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受ケタル結果所有権ガ買収セラレ或ハ其ノ買収セラレザルモ耕作権回復困難ノ実情ニ遭遇シ茲ニ於テ旧土人保護法ハ死文化シ廃止同様ノ状態ニ逢着シタルノミナラズ同族ノ生活資源ノ根底ヲ顚覆セラレ生活上其ノ死命ヲ制セラレルニ至レリ。惟フニ先住民族保護ノ目的ヲ以テ制定セラレタルモノ     殿ルヲ以テ速ニ法令ノ上ニ於テ適用セサル様明瞭ニ規定セナルヲ以テ其ノ給与セラレタル土地ハ一般所謂地主ノ所有スル土地ト同一視スルベキ筋合ノモノト存セラレザルノミナラズ農地調整法ニ対シ特別法タル性質ヲ有スルモノナレバ之ヲ適用スルコト夫自体誤レル措置ト認メラルラレンコトヲ切望スル所以ナリ。昭和二十二年九月二十三日北海道知事 田中 札幌市北海道庁厚生課内    社団法人北海道アイヌ協会  理事長 敏文 (北海道立図書館所蔵)余市町でアイヌ所有の土地解放が問題となつている。同町では旧土人保護法によるアイヌの所有田畑約七十五町歩あるが、その一部分だけ子孫が自作しているが他は町内の農家が分割して耕作し地主のアイヌ三十余名は日高北見方面に移住して不在地主となつている。昨年末これらの土地は一応買収から除外されたが今度は買収の対象となつたので同町農地委員会は七月の買収計画に入れることに決めた。これに対しアイヌたちは保護法の精神をたてに子孫繁向井山雄 栄のためには農地が必要だと買収除外を主張して東京その他に運動している。余市町農地委員会事務局では「現在では実質的に特権が失われ普通の不在地主の農地と同様取扱つてもよいと思う。子孫が現在自作しているもの余市でアイヌの不在農地買収農地委員会北海道連合会『農地時報』一巻五号一九四八年七月③ 余市における「不在農地」買収189第1節 農地改革と戦後開拓

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