北海道現代史 資料編2(産業・経済)
230/1104

低の年をひいた五年間にくらべると、八分作といわれる。216ところが、十勝管内の作付の六割五分が大小豆、菜豆などの雑こくでしめられている。今年産の出まわり予想は二百五十万俵〈豊作の三十年は二百八十万俵〉で、昨年の百二十万俵からみると、ケタちがいだが、農村の表情は明るくない。 「豆つくり」は、天候によつてひらきができるし、それにつれてネダンの動きもはげしい。その波にもまれているというのが十勝の農業の姿だ。帯広周辺をのぞいたほかの、山ろく地帯や太平洋沿岸の濃霧地帯では、そのことが農家個々の土台をゆすぶつているともいえる。では、現地に入つてみよう。海抜二百五十メートルの   いれがおくれるというわけで、ことしは五、六月の低温、新得。帯広地方の天気予報が「…山ぞい地帯はにわか雨」とでると、そのあおりをくらう。そこで、秋のとり八、九月に雨量が多かつたため作がらは思わしくない。一週間から十日のおくれで、大豆などは実入りが悪く、普通なら四、五粒つくのが、三粒しかついていなかつた。現地ルポ 九月の末、豆類のとり入れで忙しい十勝の畑作地帯を歩いた。寒地農業の確立ということが、強く叫ばれているが、現実はそのことをジカに語らせている。水田地帯は明るい顔だというが、そこでは「借金のために働く」姿でもある。牛をどつと入れているが、問題も多い。そして、中・下層農はますます苦しくなつてきているのだ。七カ年平均で八分作十勝地方のことしの作がらは、ここ五ヵ年間平均では平年作を上まわるが、この五年間というのがクセもの。二十八、二十九、三十一年と凶作なので、その数字はかなり甘すぎる。そこで、ここ七ヵ年間のうちの最高、最冷害の多発とマル寒法北海道農業経営振興協議会『農事組合だより』二巻五号一九五七年一一月十勝畑作地帯をゆく冷害の記録(3) 13 第2章 農業

元のページ  ../index.html#230

このブックを見る