なげていつた土地だから、いいだけヤセコケているのだ。つぎの、三分の一の二百戸は、酪農をとりいれて一戸当三頭ぐらいづつ牛をもつている。これは高台地帯で、一戸平均約四十万の借金があるが、地力をつけていけるということに希望をつないでいる。あとの三分の一は、借りのない農家で、水田専門、水田酪農、畑と酪農という形。まつたく農協から借金をしない農家というのは十戸ばかり。十町ぐらいの土地をもつていて、牛を飼わないで、豆やイモをつくつている。フトコロが苦しくないので豆類などは収穫してすぐ金にかえなくても、値段の安定したときに売れるという人たちだ。ここで考えられることは、まずなんのために農業をや ることだ。借金をかえす力のない農家や、借金をはらうつているのかわからないという農家が、六割をしめていために農業をやつている農家があまりに多い。これはなにも新得にかぎつたことではない。士幌では一戸平均四十万円の負債をもつている。どうにもならない二百五十五戸について、ことし営農計画書をださせ、町の農業関係機関が一本にまとまつて、適期作業などの指導に当つている。広尾では、四百二十戸の農家が借入している政府資金は一億四千万円で、一戸平均三十五万円になる。ところが、ことしの作がら思わしくなく、今年度償還分七千三百万円が払えない。農産収入四千六百四十万円と畜産収入九百万円では、借入金の返済どころか、ことしの生活費にも事かくというありさま。だが、ここでも中部地帯の四分の一近くの農家は、十五町から二十町歩〈町平均八町歩〉の耕地をもち、牛を三、四頭いれてやつている。沿岸とか、山ロク地帯の土地の悪い、所有耕地の少い農家の借金は、ひどいのになると百万円ももつている。そしてこれは芽室でもいえることだ。全町の三割近い三百五十戸が、八千万円のコゲつき負債をもつていた。これは道の負債整理資金五千万円と町、農協の整理資金一千万円、それに系統資金二千万円をよせあつめて、こ借金で夢のない農業220第2章 農業
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