北海道現代史 資料編2(産業・経済)
280/1104

資料6・7は戦後初期の林業現場の状況についての経験者の語りである。いずれも国有林の奥地天然林での、機械戦後、林業に関わる制度・政策基盤が急速に整備された。戦前の国有林は府県が農商務省、北海道は内務省が管理しており、このほか天皇の財産として御料林があった。戦後民主化により御料林は国の財産となり、内地・北海道の国有林は統一して旧御料林と合わせて国有林として管理されることとなった。これを林政統一と称するが、資料4①はその根拠となる閣議決定である。また資料4②は統一された国有林の管理体制に関わる閣議決定である。北海道の森林面積の約六割を占める国有林は戦後林業の展開において重要な役割を果たしていく。森林計画や補助金制度などの制度整備ととともに、林業普及などソフト面での制度整備も進んだ。一九五〇年に林業に関わる普及指導の仕組みが発足し、五三年に林業改良普及事業と改称され一般民有林の経営改良・私経済の向上、農山村民の自主性の確立を目指して普及活動が展開されてきた。資料5はその最初期に普及職員として地域で活動していた方の活動記録である。勉強しつつ自ら工夫して、より良い森林づくりに向けて普及活動を行っている様子がうかがえる。化される以前の鋸など手作業による伐採や馬による木材の搬出作業の様子とその苦労が生き生きと語られている。また、当時の奥地天然林の良質な木材、飯場、団体交渉の様子など労働の周辺に関わる状況もうかがえる。北海道の天然林には商品価値が高い木材があり、特にナラ・タモ等の広葉樹は世界的にその品質が高く評価され家具材や内装材などとして利用されてきた。これら優良広葉樹製材品は「インチ材」として欧米諸国に輸出され、外貨林政の基盤確立戦後初期の林業・林産業266    (3) (2) 第3章 林業

元のページ  ../index.html#280

このブックを見る