北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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獲得にも大きな役割を果たしていた。資料8は主要産地の旭川、輸出港の小樽におけるインチ材活況の様子を描いた新聞記事である。しかし、ポンド切り下げ、天然林資源の劣化とともにインチ材の輸出は大きく落ち込んでいった。戦後経済成長により木材需要が急増し、需給逼迫・木材価格高騰が大きな問題となった。紙パルプについては戦前の重要な生産地であった樺太を失い、相対的に資源が豊富な北海道で一九五〇年代後半から既存工場の設備更新・新規工場建設が相次ぎ、原木需給が逼迫した。資料9はこうした状況を示した新聞記事である。針葉樹原木が高騰したため、広葉樹材の利用技術が導入されたことを反映して、広葉樹偏重への懸念が示されている。需給逼迫への最大の対策は国有林・道有林における伐採量の増大であり、いずれもこれまでの経営を大きく変える計画によって進められた。資料10は「道有林野林力増強計画」の概要を示したものである。天然林を伐採して、生産力の高い人工林に置き換えることで木材増産を図りつつ、伐採跡地を人工林とすることで将来的にも高い水準で木材生産を進めようとする内容であったことが分かる。この後、林力増強計画は木材増産計画へと引き継がれ、更に木材増産を進めることとなった。一般民有林においても、林業活性化のための措置が講じられ、まず森林組合の強化が進められた。森林組合は一九五一(昭和二六)年の森林法改正により協同組合原則に基づく組織として再出発したが、活動は低位にとどまってい木材需要の急増と林力増強計画林業構造改善事業の展開第二節 林業・林産業の発展267(2)    (1) 解 説

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