資料12はその抜粋であり、林業経営の企業性向上、家族経営的農家林業の育成、流通体制の整備が重点的に取り上げ資料13は道林務部の広報誌の『林』に掲載された、林業構造改善事業を実施した町村及び森林組合担当者の座談会た。北海道では全国に比べて更に組合組織が脆弱であったため、道が関係機関に働きかけて作成したのが「北海道森林組合振興対策実施要綱」であった。資料11は要綱の背景と概略であるが、この当時の森林組合が組織体制も事業展開も極めて脆弱であり、初歩的なところから育成を図ろうとしていることがうかがえる。農林漁業従事者と非農林漁業従事者の所得格差の拡大と、輸入農林水産物との競争が問題となり、政府は農林漁業基本問題調査会を設置して検討を行ったが、道でも「北海道農林漁業基本問題審議会」が設置され、林業の問題は林業部会において全国の議論と並行して検討が行われ、六一年に「北海道林業の基本問題とその対策」が答申された。られるべき課題として設定されている。全国的には答申に基づく林業基本法が一九六四年に制定され、林業構造改善事業が展開された。また道内でも答申の内容が第二期総合開発計画に盛り込まれた。と美瑛町からの報告である。林業構造改善事業は、林業の発展と林業従事者の所得増大・地位向上を目指して、小規模林業経営の拡大、林道開設や資本装備の高度化によって生産基盤整備を行う事業で、その特徴は地域を指定して総合的に事業を実施することであった。資料から、林業振興に熱心だった市町村に手を挙げてもらい、役場が森林組合とともに手探りで事業を進めていったことが分かる。林業構造改善事業は、第二次、新林業構造改善事業と続き、一般民有林の林業活性化の中心的な役割を果たし、森林組合の基盤強化にも大きな役割を果たした。以上のように国有林・道有林・一般民有林において生産力増強に向けた対策が打たれたが、高度経済成長期に道内の木材供給を担ったのは国有林・道有林であり、良質な天然林材の供給を受けて道内の林業・林産業は発展していっ高度経済成長下の林業・林産業の状況268(3) 第3章 林業
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