北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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林の設定や、皆伐施業から択伐施業への転換といった方針を明確化し、伐採量を急速に減少させていった。北海道の林産業は国有林を中心とする伐採量の増大と需要増のもとで発展してきたが、一九七〇年代以降こうした状況は大きく転換する。資料18は業界紙に掲載された記事で、一九八〇年前後に木材業者の大規模な倒産が相次いだことが示されている。この記事に示されているように、倒産が続発した要因は直接的には外材との競争、低成長下での需要減であるが、長期的に見れば国有林などの天然林資源に依存してきた事業体が、資源劣化・伐採量の減少に対処できなくなってきたという構造的な問題も指摘できる。こうした問題克服のために資料19に見るように不況カルテルによる生産設備の運転制限を行うに至ったのである。一方、一九七〇年代には大きく発展する森林組合が現れてきた。特にカラマツ人工林の適地で、いち早く資源が利用できるようになった十勝や網走地域で、カラマツ資源を活用して発展する森林組合が出てきた。資料20は全国の優良森林組合の事例を集めた全国森林組合連合会の出版物に掲載された、西十勝森林組合の一九七〇年代後半の状況である。林業構造改善事業を活用して加工施設を導入するなどして事業を展開していることや、資料16で示した林地投機によって増加した地域外森林所有者に対して対策を行っていることが示されている。げを図ろうとしていたのに対して、発展段階に応じた方針を打ち出していることが特徴である。西十勝森林組合のように総合的な発展をしている組合から、依然として役場に依存している組合まで発展段階が多様であることがうかが資料21は道林務部が一九八二年に作成した森林組合の指導方針を示したものである。従来の指導方針が全体的底上構造不況下の製材業森林組合の展開270(3) (2) 第3章 林業   

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