北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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える。以上を概括すると、国有林天然林資源利用を主体とした林業・林産業から、一般民有林のカラマツ人工林を活用した林業・林産業へと、林業構造が大きく転換し始めたといえる。カラマツは北海道在来樹種ではないが、成長が早いことから炭鉱の坑木利用を意図して造林された。しかしながら、坑木利用が減少したため、カラマツの活用が大きな問題となった。資料22は道立総合経済研究所が一九七〇年代後半のカラマツ材利用の状況を明らかにしたものである。カラマツ材が産業用材として、京浜など工業地帯で市場を開拓したことや、十勝・網走を中心に大規模製材工場主導で加工体制が整備されたことが描き出されている。カラマツ林業・林産業はこの後順調な展開を遂げていく。資料23・24・25はカラマツ林業の発展を示した業界紙の記事である。資料23・24は素材生産量が一〇〇万㎥、製材生産量が三〇万㎥を超えた一九八三(昭和五八)年度の素材の利用及び製材業の状況について道の調査結果をまとめたものである。ここではカラマツ素材生産・製材加工が順調に増大していること、また製材加工は網走・十勝を中心に行われ、製材品の多くは京浜地域に梱包材として出荷されているという特徴が示されており、資料22で明らかにされた構造が基本となって展開されたことが分かる。資料25はこうしたカラマツ製材業の発展を支えた製材工場の規模拡大を示したものである。資料で紹介されているのは十勝地域を基盤としたカラマツ業界最大手の企業で、この当時、全国の国産製材工場の原木消費量トップ3にランクされていた。カラマツ林業の発展第四節 カラマツ林業の発展と新たな政策展開271   (1) 解 説

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