北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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1 戦時伐採による森林の荒廃状況〈一九三七~四六年〉『北海道新聞』一九四六年二月二〇日見捨てられた造林 本道林業 森林の宝庫といはれた本道は六百数十万町歩の山林に廿億石の蓄(を積もち年間用材、薪炭材合せて二千万石以上を伐採して来た。特に戦時中多数の有用樹を航空機や艦船用材として未曽有の大増伐を行ひ昭和十四年以降は用材だけで一千万石を突破し二十年度は一千六百万石(計画量)に激増、全国生産の一割を占めたのである。森林荒廃からの復旧と開拓と林業の競マ)マ  〱合此儘では枯渇する科学的再検討へそして戦後においても府県森林資源の枯渇、外地資源の喪失により本道森林の担当すべき供給量は戦時に劣らぬ尨大なもので二十一年度は一千六百万石の配給計画が樹てられてゐる。しかし本道の木材増産について専門家は戦前から過伐を戒め百年の計を確立すべきを主張し特に戦時の大増伐を深く憂へてゐた。  すでに濫伐による惨状は山の荒廃と、水害の頻発や農村の燃料難となつて現れてゐるばかりでなく施設の不十分は生産自体をますの復興、民生安定のため木材の消耗はます〱増大して行くであらう。ではこの需要と資源荒廃の矛盾はいかに解決さるべきか、森林の現実に即した恒久的な経営の万策がなければ緑の宝庫もやがて亡国的な破滅を免れない。否、昭和十六年施業案を廃し戦時伐採案ででたらめに濫伐して来たこの数年間だけでも山林は極度に疲弊してゐる。即ち昭和十二年以降の伐採量を見ると(単位千石)困難ならしめてゐる。だが戦後第一節 復興期の林業273第1節 復興期の林業(1) 

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