北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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りで緑化の国民運動を展開し、政府は巨額の公共事業費を投じて造林の強力なる推進を図つてきたが、この人工造林地や優良天然林を、おなじ農林省当局が公共事業費を投じて買収し、収去開墾するというむじゆんをなし世の論議の標となつてきた。以下これらの事情を概説して読者諸賢の御参考に資し度い。本道林野の植伐の均衡は膨大なる需要を満さんがため戦中戦後をつうじて、極端な過伐となつておりとくに民有林においていちじるしく官民挙げて緑化運動を強力にすすめ、諸種の施策が講ぜられ、現在国有林は約一五万町歩、民有林は約二五万町、合計約四〇万町歩の人工造林が現存するものと推定せられているが、これら造林地の大部分は戦後に造林せられたもので、したがつて幼齢林が圧倒的におおい。すなわち道有林を除く私有林についてこれを検討するに昭和二一年から三〇年にいたる間に植栽された一八万町歩の造林地において、カラマツが八五%、トドマツが〈中略〉〈略〉の如くⅢ齢級以下が七三%を占め、ことにカラマ八%を占めているが、その樹種別齢級別面積は第四表ツはⅢ齢級以下が八五%を占めている。したがつてこれら私有林が山麓地帯あるいは便利のよい立地条件にあるため未墾地買収の最初の目標となり、しかも前述の如き所用齢級に達していない造林地がその大部分であるから、国家的にも個人経済的にも問題である。昭和二九年度末現在林業用地から開拓用地へ転換されたものは第五表〈略〉の如く約七万町歩に達しているが、この中人工造林地は約一万六千町歩である。以上述べてきたように二〇年乃至三〇年先を目ざして    を食糧増産と人口吸収と云う目的のために買収し簡単に工業原料にあるいは土建家具材料にさらに国土保全のために営々として労力と資本を投じてさらに国または道の膨大なる財政的補助と技術指導を得て造成している森林伐採収去される事は国民経済上並びに国家財政上重大な事である。〈中略〉278第3章 林業

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