8 好況迎えたインチ材輸出ているものだ。好況迎えたインチ材輸出 海外から引合い殺到 〝ブーム再来〟に沸く旭川【旭川発】 戦後道貿易業界の有力輸出品として時代の脚光をあびた旭川地方の〝インチ材〟は、戦前からの取引先英国の輸入制限で、一向に振わなかつたが、輸入制限解除とともにインチ材輸出業者もビツクリするほどの引合が連日業者のもとに殺到、なかにははるばる英本国から有力バイヤーが旭川市内のインチ材業者を目指し商談に乗込むなど〝インチ材ブーム〟再来にわきかえつている。戦前から本道貿易業界の有力輸出品としてドル箱的存在であつたインチ材は、旭川地方が供給地としてクロー戦後最高記録も予想(北海道立図書館所蔵)『北海道新聞』一九五四年七月一〇日ズ・アツプされ各方面から期待されていたが、ポンド圏の大口需要国であつた英本国が輸入制限を実施していたため、業界の期待する輸出実績もあげ得ない状況、さらに昨秋には戦後新市場となつたベルギー、オランダなどからは〝乾燥不十分〟などを理由にキヤンセル品も出るという不運にあい、往年の華やかさを再現するのは困難といわれる程の低調さを示していた。しかし昨年暮旭川地方産インチ材の七〇パーセント以上を輸入している英本国の輸入制限解除、さらに欧州、アメリカなど海外諸国のインチ材需要の激増などの好材料が重なり、本年度に入り、海外諸国からの引合注文が競合してくる盛況。さらに最近では英本国が道産インチ材の供給地として旭川地方をねらい、買漁りの強行策をとつてきたため、旭川地方業者のもとに連日引合状が殺到、大手筋の小泉木材工場には英本国の最有力バイヤーといわれるロイド・ダンカン・カラード氏が旭川入りして直接業者と商談交渉を続ける熱心さに地元では戦後はじめてのことと289第1節 復興期の林業
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