北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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業者を驚かせている。こうした盛況を裏付けるかのように、本年上半期に地元業者から船積みされた量はザツと五万石、金額にして三億五千万円、昨年同期の三割増という戦後貿易が再開されてからの最高の輸出実績をあげ、本年下半期分としても上半期と同量の輸出契約が締結されているという。上半期の場合、全道総輸出実績の三分の一を旭川市内   して重要な地位を築いてきたようだ。のインチ材業者で賄つた勘定になり、仕向地も戦前の英本国一辺倒から米本国、南阿、ニユージーランド、エジプト、香港、デンマーク、スウエーデンと多地域にわたり、輸出価格も昨年のチエツクプライスの二五パーセントから三五パーセントアツプという好条件にあるので、金融業界のうけもよく、道産輸出インチ材の供給基地と数量、金額ともに急増 【小樽発】 道産輸出品の首位を誇るインチ材は、五月以降積出し最盛期を迎え活況を呈し〝この分で進めば数量金額とも戦後最高になるかもしれない〟と業界では明る小樽の積出し戦後最高い見通しを立てている。函館税関小樽支署の調べによると五月中に小樽から積出されたインチ材は一万五千四百七十八立方メートル、本年の最高記録、六月は一万四千五百四十一立方メートル、ほぼ前月実績を維持し、一月から六月の上半期輸出高は五万一千六百七十五立方メートル、十四億二千六百八十七万六千円で昨年同期に比べ一万四千二百立法メートル、五億七千万円増という飛躍的伸張を示している。増加の主な理由は昨年末からの英国の輸入制限撤廃によるもので、英国向けだけでも全輸出量の約六五パーセント、英国以外の主要仕向け地は米国、オランダ、西ドイツ、ベルギー、南アフリカなどで、最近南米のウルグアイが新市場に登場してきたのも注目されている。また輸出価格は昨年より三割方上伸し、ヨーロツパ、英国向けの商社手取りはチエツクプライス(協定価格)の二五パーセントアツプで、三月以来横這いをつづけ、目先き大きな変動はない模様である。ただ最近の傾向として英国はユーゴ、ルーマニアなどから安い材料を大量290第3章 林業

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