北海道現代史 資料編2(産業・経済)
306/1104

9 パルプ原木の需給逼迫転換期に立つ本道林業③ 深刻化する供給難 驚異的な工場建設最近のパルプ工業の進展ぶりは驚異的なものだ。本州製紙が釧路に進出したと思えば、こんどは大昭和製紙が白老に工場を建設中といったブームである。もともとパルプ工業は原料のほとんどが針葉樹で占められていた。本道の年間素材生産量のうちパルプ工業に向けられた素材の針、広葉樹別比率は二十七年度まで針葉樹九〇パーセント、広葉樹一〇パーセント未満が常識であった。と木材需要の急増と林力増強計画『北海道新聞』一九五九年一一月二五日パルプ原木の需給広葉樹の比率のびるころが国策勇払工場が操業を開始して二年目の二十八年度には、広葉樹一二・六パーセント、針葉樹八七・四パーセントと広葉樹が一〇パーセント台を突破した(道林務部調査)。さらに道の調査によれば三十年度から広葉樹は二〇パーセントを突破、三十四年度には広葉樹二六・一パーセント、針葉樹七三・九パーセントが予想される。つまり包装紙などの需要増と林増〔(林力増強計画〕による過渡的な針葉樹不足、広葉樹過多などの現象からパルプ業界における広葉樹ブームが現出したわけである。本道パルプ工業の用材手当は府県と違って圧倒的に官  公有林に依存するとともに、三十年度から三十二年度までの本道素材生産量に対するパルプ材の比率(道林業統計)は約二七・八パーセントを占めている。三十四年度以降の予想需要量をみると、札幌通産局調査では(チップを除く)三十四年度百九十九万立方メートル(七百十七万石)三十五年度二百五十万立方メートル(八百九十五万石)と推移、各社で計画中の新増設備が完了する三需要はふえる一方編者注)第二節 林業・林産業の発展292第3章 林業(1) 

元のページ  ../index.html#306

このブックを見る