十六年度以降にはフル操業として三百四十九万立方メートル(一千二百五十一万石)を想定している。一方道では(チップを除く)林増による過渡的な素材生産減とパルプ工業各社の操業内容とから三十五年度以降三百万立方メートル(一千八十万石)程度の供給量と推定している。札幌通産局と道林務部の需要推定は算定基礎の相違から多少異なるが、両者の推定とも明年度に操業を開始する大昭和製紙白老工場の需要をみておらず、いずれにしても原木難は深刻化が予想される。林増計画による三十三年度―三十七年度(ただし道有林は三十二年度から)の道、国有林の年間平均素材生産高は五百五十一万立方メートル(一千九百八十三万石)、民有林その他を合わせると全道で六百四十八万立方メートル(二千三百三十三万石)だが、道推定の三十五年度以降のパルプ用材年間平均需要量三百万立方メートル(一千八十万石)をみても、生産量の約四六パーセントを占めることになり過去の実績をはるかに上回るわけである。心配な広葉樹偏重木材資源の供給不足は極言すれば林増計画を修正しないかぎり解決不可能といえようが、パルプ工業用材の不足の深刻さはさらに針葉樹、広葉樹別に検討するとますます問題が多い。札幌通産局の用材需要推定量(チップを除く)のうち広葉樹の占める割合は三十四年度三〇・九パーセント、三十五年度四七・一パーセント、三十六年度以降五〇・九パーセントである。これに対して林増による道有林、国有林合計の生産量に対する広葉樹の割合は、三十三年度―三十七年度まで五ヵ年間(ただし道有林は三十二年度から、以下同じ)の年間平均で五五・七パーセント、三十八年度―四十二年度まで同五九・四パーセント、四十三年度―五十二年度まで十ヵ年間で同五九・一パーセント、五十三年度―六十二年度同五〇・八パーセントである。つまり林増実施後三十年間は広葉樹が五割以上、年間最高七〇パーセントをこえる生産となる。ところが四十年目前後あたりからは、人工造林による新植樹が経済的伐期に達するため、六十三年度―七十二年度までは広葉樹が三三・四パーセントに転落する。293第2節 林業・林産業の発展
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