北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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林業の主体性を確保し、企業的経営を推進する。北海道のこれまでの開発過程にあつては、たとえば、資源の略奪的な利用を通じて地域産業の発展がはかられ、また、森林が後退することによつて農用地の拡大を進めてきたように、つねに林業の内部的成長を犠牲にして外部的要請にこたえてきた。その結果、外部的要請を満足しえない機能の低下を招いている。それゆえ、外部的要請をよりよく果たすためには、林業は、その主体性を確保し、自主的な発展方向へ進めることによつて、内部的充実をはからねばならない。これは林業の企業的経営の推進にほかならない。そこで、林業の企業性の低さが問題となる。この原因としては、生産の上では生産の長期性・自然的条件の拘束性・低位な枝術水準があげられ、構造の上では所有規模の零細性・所有者の土地独占性・原始資源の利用の執着・市場の未成熟・農林不可分の政策などである。この企業性の低さが、外部資本の流入をさまたげ、資本蓄積が進まないまま、林業をして低開発な後進産業の地位に停滞させてきた。は、つぎのような諸点からうかがえる。ところで、北海道林業における企業性向上の可能性所有構造が比較的に大規模である。土地の権利関係に前時代的な因縁がない。長い間の開拓政策もようやく締めくくりの段階にある。経済的にも技術的にも、生産の集約性及び期間短縮の可能性が強まり、利潤の上昇が期待される。有効需要の増勢・低位資源の利用拡大など林産物の市場性が増大し、林業経営は有利に展開している。林産物の需給事情からおして、その価格は今後とも堅調である。木材不足にてらし、パルプ工業などの産業間で自給手段としての備林造成の気運が高まつている。農林業の双方で、それぞれ自主的に発展政策を進めようとしている。第2節 林業・林産業の発展(チ) (ヘ) (ト) 301(ホ) (ニ) (ハ)      (1) (ロ) (イ) 

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