北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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製材業不況カルテル認可(上川管内)十一億円、旭川銘単(上川管内)二十億円、ユタカ産業(上川管内)八億円、千葉集成材(十勝菅内)五億円と、当月だけで負債額四十四億円にのぼった。さらに二月は高橋木材工業(網走管内)一億一千万円、山下木材(空知管内)十六億円、石塚木材工業(十勝管内)四億五千万円、若狭事業所(網走管内)十八億円、道林(石狩管内)十四億円という巨額倒産が続出し戦後最悪に。そして三月初旬には中村木材工業(釧路管内)が約二十億円の負債で倒産し、本道の基幹産業だけに大きな社会問題になっている。倒産の背景は、住宅着工の大幅な落ち込みによる木材需要の不振と木材価格の値下がりという経済環境の変化が主因であるが、昨年らいの倒産で特徴的なのは中堅以上の老舗が行き詰まっていることだ。外材や公売一本槍にくらべ、国道有林から随意契約で原木の安定売り払いをうけている企業の憂き目が目立つのは、やはり群雄割拠の経営努力が足りないという指摘もある。また森林資源の劣悪化と林道等の整備が遅れていることで原木コストが高くつき、経営に弾力性がなく競争力に弱い体質もある。今年は、住宅需要が昨年より減少するという見方が一般的なのと安い外材製品の攻勢で、製材業の経営前途は厳しく、今後も落ちこぼれが懸念されている。道林務部では、木材産業の倒産防止のため緊急融資措  置を講じているが、設備の過剰など構造的な要因や放漫経営もあって、金融措置だけでは解決できない状況にあり、木材需要の喚起と業界の構造改善など総合的な対策を進め、不況に強い体質を確立したいとしている。製材業不況カルテル認可一一月一八日まで毎週土曜主要製材生産設備休止まず在荷軽減図り 『北海道林材新聞』一九八一年八月二〇日採算価格の確保を期待(民有林新聞社所蔵)第3章 林業32419 

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