下刈・除間伐を実行する基盤をつくった。昭和五六年度からは、新林業構造改善事業で砕石生産施設の導入に着手し、五八年度完成をめざしているなど、西十勝森林組合は各種の国や道の施策を積極的に導入して、組合員のあらゆるニーズに応える事業体制づくりを行っている。昭和五六年度における組合の事業総収益は八億一、〇〇〇万円にのぼり、うち林産・販売事業が三三%、加工製造事業が四〇%を占める。林産事業は一万二、七〇〇㎥の取扱いで地区内素材生産量の六割、販売事業取扱量を含めると七~八割を掌握している。一方、森林造成事業では、新植一一三ha・下刈九〇八ha・除伐二一九haを実施、うち組合員からの委託による新植は、地区内民有林新植面積の七割を占めている。長期経営受託事業高度経済成長の進展に伴う就業構造の変化とともに森 林所有者の自営による森林施業は減少し、団地造林制度などの造林施策の適用を受けた森林組合への施業委託が増加した。ちなみに、昭和五五年度の道内民有林造林面積の九割近くが森林組合受託によるものである。また、林地の流動化により、非農家林家が増加し、特に昭和四〇年代からは地区外居住者の所有による、いわゆる「不在村森林所有者」が増大した。全道的なこの傾向に対処して、道と道森連は長期経営受託事業の推進を民有林と森林組合の振興施策の一つにすえて取組んできた。これは、森林所有者と森林組合が最低五ヵ年以上にわたる経営委託契約を結び、その間の施業を森林組合が全面的に受託して実行する方式で、これにより不在村森林所有者を中心とする組合加入(組織化)の促進と、施業の共同化・計画的実行がはかられる。一方、森林組合は事業量と経営の安定化が得られるが、受託に応えるための労務など事業体制の整備強化が必要であり、何よりも森林所有者から信頼される組合であることが必要条件となる。西十勝森林組合では、組合員数の二三%、組合員所有森林面積の五九%が地区外居住者であることから、長期受託管理事業を実施して、関西地区におよぶ道外不在村第3章 林業328
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