森林所有者に働きかけてきた。これは五年ごとに更新する長期受託管理契約を締結し、適期施業の実施とともに、各種災害や誤盗伐の防止など森林組合が森林所有者に代って一切の現地管理を受託しようとするものである。これに要する管理費は面積に応じて森林所有者が負担し、施業の実行費用は事業ごとに別途委託契約により定めることとしている。現在、この長期受託管理契約は、二四件二〇〇haの実績があり、今後なお拡大の必要があるものの、遠隔地森林所有者との折衝に要する組合の経費負担が大きいことや、森林所有者の林地保有目的が林業経営以外にあることなど、推進上の課題も多い。今後は林地供給事業との連けいもより必要になるであろう。カラマツの加工昭和四五年に設置したチップ工場は、年間生産能力一万六、〇〇〇㎥の機械設備で、操業開始以降、その目的とする低質材の付加価値向上と造林推進に大きな効果をあげてきたが、紙パルプ産業の構造的不況に遭遇し、生産調整やチップ販売価格の低迷などけっして平坦な道程をたどってはいない。昭和五六年度の生産実績は、広葉樹チップ五、七〇〇㎥、カラマツチップ六、七〇〇㎥で一億八、七〇〇万円の売上高であった。今後も増大するカラマツ間伐材の処理にチップ生産は不可欠であり、不況下の紙パルプ需要に対応した工場経営の厳しさを、チップ業界と共通の課題として背負っている。チップ加工に次いで昭和四八年に設置したカラマツ小径木処理施設は、間伐中小径木の高度利用をはかるため、梱包材生産を行っている。梱包材は主に鉄鋼製品や自動車部品、機械類の輸出に使われるもので、京浜地区への出荷が主体である。道産カラマツ梱包材の使用量は年々伸びているが、輸送費コストのハンディを負い、外材を中心とする他樹種との競合で価格は低迷している。このため、森林組合は昭和五七年に自力でツイン帯鋸を導入するなど設備を改善し、生産能力を年間原木消費量九、〇〇〇㎥に高めるとともに、加工コストの低減をはかった。今後は、間伐の進行とカラマツ資源の高齢級化に伴第3節 環境問題への注目と林業構造の転換329
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