北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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地域林業システムの構築地域林業システムの構築    新計画〔(北海道新長期総合計画〕の掲げた来るべき「国産材時代」の物的基礎は、いうまでもなく、全国レベルでは一千万ha、道レベルでは一四五万ha(昭和六十年当時)の人工林面積である。この人工林を使用価値の高い健全な森林資源として成熟させ、付加価値を高めて確実に需要に結びつけること紀の本道林業、林産業に課せられた基本的な課題のひとつである。しかし、この課題はまた、今後も長期にわたって低迷の予想される木材需要動向の下で、狭い市場をめぐって、米材やソ連材などの外材とプラスチック、アルミなどのありとあらゆる代替材との競争に耐え抜いて、国(道)産材の販路を拡大し需要を確保するととも編者注)多様な要求に応える林政の展開北海道林務部『林』四三四号一九八八年五月このことが、二十一世に、木材そのものの復権を図るという極めて困難な問題を解決することでもある。一四五万haの人工林面積は、来るべき「国産材時代」の物的基礎ではあるが、現下の情勢は、本道の全ての森林資源、林業生産活動及び木材加工・流通活動にこの困梶本 孝博難な課題の解決を迫っている。「国産材時代」という政策上のプロパガンダは、皮肉にも、未成熟資源という最も処理の困難な〝カード〟に焦点を当てたともいえる。しかし、困難ではあっても、外材や代替材との需要確―    や林産業者、木材流通業者も、今後の自らの展望は語れ保競争、販路拡大競争に対抗し、生き残るための努力と工夫を重ねなければ、森林所有者も森林組合も素材業者ないであろう。ところで、外材がわが国の木材市場を席巻したのは、低材価のみならず品質・規格が統一され大量かつ安定的な供給体制等が整備されていたからであり、また、非木質系代替材が木材製品を駆逐したのも、外材の持つ特性との共通面のほか、消費者ニーズに即応した多種多様な第4節 カラマツ林業の発展と新たな政策展開34126 (2) 

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