商品開発力、供給力をもっていたからにほかならない。本道の林業・林産業が、こうした外材や代替材のもつ生産・流通構造上の強い競争力に対抗していくためには、従来の個別で分散的また間断的な素材生産や木材取引きのあり方などを厳しく見直し、少なくとも木材の生産・加工・流通過程でのトータル・コスト・ダウンを実現するとともに、需要に即応できる原木及び木材製品の定時安定供給体制を作り上げる必要がある。したがってまた、従来の木材生産側(川上側)と加工側(川下側)とがバラバラに活動するのではなく、両者の十分な協力、協調によって、生産から加工・流通・販売に至るまでが一体となった生産活動を実現する必要がある。このことによって、とくに組織的で計画的な生産活動による低コストの安定した立木供給体制を確立すること、また、それらの立木供給をベースに、均質で規格の統一された良質な木材製品を定時かつ安定的に市場に供給するような一貫した加工・流通・販売の体制を作り上げ需要の維持拡大を図ることが肝要である。この場合、生産側と加工側とが一体となった生産活動を展開するシステムは、森林資源の同質性や今後の生産活動の効率性などから、主要流域などをベースとしたまとまりのある数カ町村を一圏域とするシステム―すなわち「地域林業システム」として構築される必要がある。いうまでもなく、川上側と川下側が地域ぐるみで協調し、山づくりから木材の加工・流通・販売までが有機的に連携する「地域林業システム」の実現には、解決すべき多くの困難な課題がある。国・道有林経営と一般民有林経営との結びつきが希薄であること、国・道有林がそれぞれ独自の生産・流通機構を形成していること、原木市場や製品市場が未成熟であること、製材工場などで高次加工体制が未整備であり、恒常的な過剰設備の傾向があること等々である。こうした状況を一挙に変更することは不可能ではあるが、限られた市場の中で、外材や代替材と対抗しようとする以上、従来の本道林業・林産業の生産・流通構造に何らかの変革をもたらさない限り、来るべき二十一世紀第3章 林業342
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