北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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〔1-1基本理念〕道民の森基本計画書での再生は難しい。木材価格の偶然の高騰や新たな用途開発のみに夢を託すのは、余りにも楽観的にすぎるし、また個別経営の個々ばらばらの自助努力のみでは、事態の乗り切りは余りにもおぼつかない。 「地域林業システム」は、川上側と川下側の協調が基本であり、いくら製材品のコストを下げ川下側の競争力を高めても、川上側にとって立木販売の収益が再造林費を下回るような立木価格であれば両者の協調などありえない。 「地域林業システム」の構築は、本道林業・林産業再生へのひとつの装置づくりであって、何よりも重要なことは、地域内の川上側も川下側も同一のテーブルに座り、共通して努力できる目標を見い出し、その実現のために工夫を重ねる一歩を踏み出すことである。システムづくりの努力は村おこし、町おこしの努力であり、行政にとっては地域の開発力をいかに引き出すかが問われている。(北海道大学農学部図書室所蔵)○ 森への関心の高まり森を知り、共に栄える近年の高度経済成長と都市化の急速な進展は、都市部では公害の発生や生活環境の悪化を招き、農山部では過疎化の進行や林業経営の悪化から森林の適正な管理が困難になってきている。一方、日常生活の中で森林に接する機会が少なくなった都市住民は、価値観の変化とライフスタイルの多様化に伴い、森林を安全で快適な環境や精神的な豊かさ、健康な活動の場などを提供するものとして、森林への関心は高まりをみせている。森林に対する道民の関心が確実に高まっている中で、自然指向の潮流を受け止める必要がある。この北海道林務部『道民の森基本計画書 要約版』一九八九年   ― 第4節 カラマツ林業の発展と新たな政策展開34327 (2) 

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