の削減に伴う漁期後の大幅減船も不可避とされていた。本資料ではこうした当業界の窮状とともに、十分な減船補償や交渉の早期妥結といった、国に対する業界としての切実な要求が示されている。更に、この時期には北洋漁場から締め出された韓国漁船が北海道沿岸で操業するようになり、漁具被害の頻発や乱獲の懸念といった新たな問題が引き起こされていた。資料16は、一九七七年四月に指導連が政府に提出した外国漁船対策に関する要望書である。その内容は、領海一二海里の即時設定、二〇〇海里漁業水域法の早期成立、外国漁船による漁具被害救済対策等を求めたものだが、二〇〇海里漁業水域については竹島問題や西日本漁船の韓国周辺水域における操業確保との関係で韓国漁船には適用されず、上記の問題はその後も長く解消されなかった。資料17は、そのような状況下で指導連が国に対して再度提出した要望書であり、ここでは二〇〇海里の韓国漁船に対する全面適用が強く要請されている。北洋漁業の衰退傾向が顕著となる中で、水産振興の基本方針は次第に沿岸漁業を重視したものとなる。例えば資料に関する基本方針とされている。中でも栽培漁業への期待は大きく、資料19ではその更なる発展に向けた諸方策が示される。またサケの人工ふ化放流事業については、この時期に大きな成果を上げたことから、その恩恵をどのように配分し、地域漁業の発展につなげるかが問われるようになっていた。こうした状況に対応して道水産部は、一九七八年二月の漁業権切替方針(資料20)で、サケ定置網漁業における「協業化(共同経営化及び法人組織化)の促進」を重点方針として掲げる。これはいうまでもなく、定置漁業権の共有化による漁利の均霑を意図したものである。漁業制度改革時に掲げられていた定置漁業権共有化要求は、サケ定置網漁業の急成長と行政の協業化方針に基づく後押し二〇〇海里時代の水産振興352第4章 水産業18では、栽培漁業の展開と沿岸・沖合域における資源管理の強化、及びそれによる漁業生産の確保が、道の水産振興(2)
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