資料23に見られるように、日本海地域は二〇〇海里の影響や磯焼けの進行等によって漁業生産が大幅に縮小し、漁業によって、一九七〇年代以降、多様な形態で実現していくのである。一方、水産加工業も二〇〇海里時代に入って大きな変化を余儀なくされた。資料21は、一九八〇年に道水産部が提示した『水産加工業振興ビジョン』の抜粋である。北洋漁業からの原料供給が縮小していくという、水産加工業にとっての危機的な状況変化に対応し、ここではイワシ、サンマ等、当時生産が増加しつつあった国内資源への原料転換や輸入による原料確保といった対応方針が打ち出されている。一九八〇年代後半になると、七〇年代以後一定の前進を見た本道沿岸漁業も新たな課題に直面する。一つはホタテガイ増養殖が過剰生産局面に逢着したことである。資料22は、一九九五年に道水産部に提出された、「ほたてがい漁業対策プロジェクト」の提言である。ここでは過剰生産による価格暴落が生じたことを踏まえ、生産調整を含めた増産体制の見直しと低価格に対応するための養殖漁家経営の収益性改善、及びそのための過剰投資の抑制等が提言されている。ホタテガイ増養殖は、既にこの時期に曲がり角に差し掛かっていたというわけだが、こうした指摘は今日においてもなお再検討されるべき内容を含んでいる。もう一つは日本海側漁村の衰退傾向が顕著になったことである。者の高齢化や後継者不足が深刻化していたのだが、道はこのような状況を改善するための「地域プログラム」を各地の漁協・漁業者から募り、モデル的な取組を重点的に支援するという施策を打ち出している。またこの期は、こうした沿岸漁業の後退傾向と連動して、沿海地区漁協の経営状況も悪化を余儀なくされている。新しい沿岸漁業・漁村づくりと漁協再編第四節 グローバル化の進展とバブル崩壊後の水産業353解 説 (1)
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