北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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〔第四節 漁業制度改革〕3 北海道漁業界の漁業制度改革要綱案とともに消滅または移動し去つたのである。あとに残された多数の蓄積のない半出稼的小生産者の分解は、またきわめて停滞的であつたが、さきに述べたように、最近次第にその分解の速度を早めつつあつて、すでに小さいながら沖合に進出する漁業を析出している。しかし、まだ道南漁民からは完全に自由な労働者をあまり出しておらず、漁港とそれにともなう流通諸施設もきわめて不備である。漁業制度改革要綱〔(案〕漁業生産の増大を図つて漁村経済の確立をなすために〈一九四七年〉編者注)(北海道立図書館所蔵)北海道水産業会『北海道水産業会史稿』    一九七四年は、漁業生産の基本をなす漁業権を、特定人に独占させるべきではなくて、広く生産漁民に普く専有せしむることを理想とするものである。然し現在本道の漁業権は既に開拓八十年を閲し飽和の状態に達して居り、加ふるに敗戦に伴ふ漁村人口の必然的増大は生産漁民に生産手段を同一に与へることは不可能である。茲に於て漁業制度改革の終局の目的は、漁業権を総て生産漁民の共有とし徹底した経済的社会主義政策を実施すべき必然性がある。  然し現下漁村の生産事情よりして急激な改革は却つて漁業生産を低下せしむる虞れあるにつき、近き将来に於て一切の漁業をなすの権を漁民生産協同体に移譲することを原則とし、最低限度第一次実施案として別記事項を急速に施行するを要するものと認める。一、法律を以つて市町村、都道府県及全国を地区とする漁業管理委員会を設け、地区内漁業の監理をなすこと。但し特別の事情により市町村の地区に依るを得ざるも360第4章 水産業

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