ていた地元都道府県知事の漁業調整権限を縮少して、その調整権を原則的に政府がこれを掌握せんとするものである。かくては、大多数の漁民のために確立された現行漁業法の狙いである漁業の民主化並びに水面の総合的高度利用という高い理想は没却されるばかりでなく、かかる改正の方向は、地方行政上に占める水産行政の立場を著しく低下せしめ、地方自治の進展をも阻害し、更に現地漁業の実態に即応した総合的漁業調整の途は断たれ、加えて大多数の漁民の生産増嵩は期し難い結果となり、ひいては漁民生活の不安定を助長し、漁家総体の福祉増進に適応しないものといわざるを得ない。よつて、かかる漁業法の改正案に対しては断呼反対するとともに、これが改正に当つては頭書記載の事項を充分に尊重せられ、真に漁民全体の福祉増進のための改正を期せられたいのである。右地方自治法第九十九条第二項の規定により提出する。北海道議会議長 内閣総理大臣 水産農林大臣 参衆議議 地方自治庁長官荒 哲夫 庁長官各通(行政庁以外は陳情書とする)院議長院議長(北海道議会図書室所蔵)363⎫⎜⎜⎜⎜⎬⎜⎜⎜⎜⎭第1節 漁業制度改革と戦後復興
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