北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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さず、沿岸漁業経営に過剰就業状態をもたらし、本道沿岸漁業の生産性を低位に停滞させる要因となつている。2 資源変動に対する対応力の低さ一般に、漁業資源は、変動性、移動性に富み、さらにその生産過程を人為的に管理し難いため、漁業生産の不安定性を避けることは現状では困難である。本道の漁業は、従来ニシン、イワシ等の一時的多獲魚に依存する場合が多かつたが、最近これら資源が激減して、イカ、スケソウダラが増加するなどその魚種構成を変え、また、地域的にも大きな変動をみせている。従つて、漁業生産における不安定性に対処して、漁      を持たなければならないが、零細経営で、資本力に乏業経営を安定させるためには、このような資源変動に対応して、その経営の内容を転換し得るための弾力性しい沿岸漁家は、この資源変動に対応することができず、その結果、漁業所得は低位に止まらざるを得ない。3 ており、漁場生産力は比較的高いが、内容的には、一時的多獲性の低級魚が多く、特産高級品資源に乏しい。め、その大部分が道外消費市場に移出されており、このような消費市場から遠隔の地にある本道水産物の価格形成条件は極めて不利で、これが一般的に漁業生産力の高い割合に本道の漁業所得が低い要因となつている。従つて、このような条件は、生産性の低い沿岸漁家経営には極めて不利で、本道沿岸漁業が安定した経営を維持するためには、コンブ、サケ、マス、毛ガニ、シシヤモ等の特産高級品的資源の生産か、道内消費市場を対象とした鮮度の高いものの生産に依存できるような条件を持つことが必要である。品的な資源は、沿岸漁業者の数に比して全体の量が少なく、また、鮮度の高い沿岸漁業生産物に対する道内経営条件の不利本道周辺漁場においては、寒流性資源が主体となつまた、本道の漁業生産物は、道内消費力が小さいたしかし、前述したように価格の高い本道の特産高級374第4章 水産業

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