消費力も小さいため、本道沿岸漁業者は、結果的に、生産性の高い企業体と同種の資源を漁獲対象としなければならない場合が多い。この結果、コストの低い企業的経営による生産物との市場競争に直面することになり、ここに本道沿岸漁業経営の特質が存在する。また、一面において、生産材は、主として道外からの移入に依存しているため、資材購入費が高く、更に増大の傾向にある過剰人口の存在を背景に、投下労働の多いことと相まつて、経営費が多く必要で、これが全体として本道の漁業所得を低くしている要因となつている。4 自然的条件の不利本道は冬期が長く、しかもこの期間における寒冷、風雪等の激しい気象条件は、一般に生計費、経営費の増高となつて現われ、本道経済発展の阻害要因となつているが、漁業生産には特に強い影響を与えており、更に流氷、結氷による生産不能地域が相当広範囲に及んでいる現状である。このような悪条件も、耐波性の強い大型漁船を使用する企業的経営においては相当程度克服し得るが、風波に対して殆んど抵抗力を持たない小型漁船を使用する沿岸漁家経営にとつては、生産が大きく制約されることとなつて、その生産性を低下し、かつ、前述した生計費、経営費の増高と相まつて、その生活水準が他府県に比較して著しく低くなつている。 度が本州府県より比較的高かつたため、近年まで無動条件の不利と共に、本州方面のような、生産性の高い養殖業の発展を困難ならしめている。5 力漁船の操業が可能であつたこと、自然的、地理的な条件上、のり、かき等生産性の高い養殖業が未発達なこと、本道における第二次、第三次産業が全般的に未発達なため、漁村からの剰余労働力の流出に乏しいこと等を反映し、全国的に中間層が大規模経営体と小型また、比較的屈曲に乏しい海岸地形は、前述の気象漁業構造の特異性本道の漁業構造は、上記諸特性、特に浅海漁場の豊375第2節 高度経済成長期における生産力発展
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