道が推進するものであるが、実際に積み上げ計画にそつて改善を進めていくのは、あくまでも漁民体とならなければならないものである。構造改善を、ただ単に補助~融資事業であるかの理解では、まずはじめから効果など期待されるものではない。あくまでも漁民―漁協が、長期発展的な考えから、総合的な漁業のあり方を認識し、主体性をもつて進めるべきものである。構造改善の基本理念は、生産性他産業との均衡化にあり、そのためには漁業経営を企業的経営としての育成にある。企業的経営の目的は、利潤(もうけ)の追求にあるわけだが、その目的を達成するための手段が講じられなければならない。もうける手段は、いろいろ考えられようが、すくなくとも、漁業に一般企業における経営原則を適用することなく、企業化― ― ―できないであろう。近代経営の要諦は、計画→実施→統制(検討)の三段がまえにある。所得の向上による近代化を云々することはしたがつて、漁業が企業的な経営として進められるた漁協が主めには、実行にさきだつて、めんみつな計画がたてられ、その計画にもとづいて、ゆきあたりバツタリの実施を排し、計画と実施のクイチガイを是正するためにこれを調整する、という経営活動が行なわれなければならない。このように、個別経営が近代化されるためには、経営と経営の関連としての地域全体の経営構造なり、生産資源(労働力、資本、漁場、土地)が、合理的に高度利用されなければならない。このような総合的な指導性が、漁民の感覚的な認識からも、客観情勢からの判断からも、現実的に、漁協に要請されていることを知つておかなければならない。第2 〈中略〉営漁改善指導のあり方1 基本的な考え方漁協の営漁改善指導は、漁業の生産性の向上と漁業就業者の所得の均衡的増大をはかり、漁家経済の向上を実現するため、系統漁協の組織活動をつうじ第2節 高度経済成長期における生産力発展(1) 381
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