〔日ソ漁業問題について─全鮭連、見解を表明─〕鮭鱒流網漁業の縮小再編〈一九七七年五月一一日〉一、日ソ漁業交渉の現状について昨年十二月の二〇〇カイリ専管水域に関するソ連の最高会議幹事会令の公布以来、これに対応する日本漁業の在り方について種々論議が交わされ、本年三月以来三たびにのぼる鈴木農林大臣の訪ソにもかかわらず、今日なお交渉は依然として進展せず、わが国の伝統的北洋漁業二〇〇海里ショックと外国漁船対策熊澤弘雄「第一部 (青木久・熊澤弘雄『二百海里の波紋と北洋漁業』一九八三年 二〇〇カイリとその波紋」所収)に壊滅的打撃を与えていることは極めて遺憾に耐えない。特に、サケ・マス交渉は日ソ漁業条約に基づく別個な立場で交渉がもたれ、妥結寸前に至り交渉が中断され、既に漁期に入っているにもかかわらず出漁を見合わせざるを得ない現状となったことは誠に残念極まりない問題と考えている。今次交渉は北方四島周辺の線引き問題に絡み領土論に連なる問題であるだけに、業界は挙げて国の方針に従い事態の推移を見まもっているが、現地事情はますます深刻化を極めつつある現状を認識し、早急に本交渉の妥結を心から念願する以外にないものと考える。去る四月二十九日、ソ連は日本政府に対し日ソ漁業条 興 約の廃棄を通告してきたと報ぜられた。このことは、二〇〇カイリ時代を迎えた国際情勢並びに米・加に次ぐソ連の二〇〇カイリ漁業専管水域の設定によって当然予期される事態ではあるが、戦後二十一年にわたり運用されてきた現実を顧みるとき誠に残念に思う。二、日ソ漁業条約の廃棄通告について第三節 二〇〇海里の影響と沿岸漁業振39115 第3節 200海里の影響と沿岸漁業振興(1)
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