北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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その内容は、日本漁業の構造改善の必要性を指向し、漁業許可制度の在り方、加工技術の開発、あるいは新時代における水産物輸入の方向等にわたって問題点と将来への方策に示唆を与えたものであり、我々としては心からその政策の実現を期待し、高くこの試案を評価したいと考える。また、この中に北洋サケ・マス漁業に関する再編成についても示唆しているが、このことはサケス中小漁業界においても心から望むものであり、一日も早いその実現を期待しているが、今次交渉によって二ないし三割の一律減船を強要され、漁期を前にして徒らにその混乱の拡大を避ける意味から、やむなく休漁という措置によって目前の出漁を確保することとしたが、今年中に実施を迫られている減船の処理に当たっては、勇断をもって北洋サケ・マス漁業の再編成を実行し、中小漁民の生産の場を確保しなければならないものと考える。その意味において自民党におけるこの試案を中心に十分なる検討をお願いし、明年度の北洋サケ・マス漁業の出漁に当たっては新しい時代に即応した漁業の基盤が作 •マ   られ、更にこれらのことが日ソ、あるいは日米加漁業交渉の場で理解され、その合意のもとに北洋サケ・マス漁業の恒久的基盤が確立されるよう願っている。今回のソ連二〇〇カイリの漁獲枠六万二、〇〇〇トンの事実上の妥結という事態に対応し、今年度出漁に当たりサケ・マス業界は五五一隻にのぼる休漁の措置を敢えて強行せざるを得ず、全鮭連は既に六〇隻の休漁船リストを当局に提出する措置をとった。このことは、今次交渉の厳しい現状と、四月三十日の出漁期を目前にした事実に徴しやむを得ずとらざるを得なかった措置である。しかも、今年中に同様隻数の減船を約束させられているが、この実行は極めて至難なことで、この際、政府は大乗的見地に立ってそれ相当の救済措置を講ずべきであり、また、全鮭連としては、新しい二〇〇カイリ時代を迎え、前にも述べた熊谷試案の内容に基づき基地独航方式を前提とした再編成を中心に、この減船処理の対策に当たって行かなければならないもの四、サケ・マス漁業の今後の減船措置について393第3節 200海里の影響と沿岸漁業振興

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